毛皮反対

megumimaginery2006-11-06

イギリス人気の「Top Shop」の、ロンドンの旗艦店で「毛皮反対キャンペーン」を行っている。アメリカの動物愛護団体「Peta」と協力して11月より件のディスプレイを行っている。


この、いささか唐突なキャンペーンにある業界団体がインタビューを試み、一部毛皮商品を扱っているではないかとか、毛皮を使うデザイナーとも協力関係にあるのは何故か、なんて突っ込んでいた。ほかのブランドが倫理的デザインに取り組んでいるのを長い間横目で見てたじゃないか、とか、中国に搾取的工場をまだ持っているじゃないかとか、身内であるはずのインタヴュアーは辛らつだ。尤も、「Top Shop」広報担当のエイミーは「Top Shop」は毛皮に反対する、契約デザイナーだって、ウチのデザインには毛皮は使用しない、中国工場については拡大する予定はないが、あくまでビジネス上の利害に則して展開するはずだ、なんて抜かりなく優等生的対応をしている。


この「Top Shop」というイギリスでもっとも影響力のあるファッションブランドが矛盾を孕みながらも倫理的ファッションを選択したことは業界に大きな影響を与える。特に毛皮については賛否両論があるので、彼らの決断は下手をすると政治的問題にもなりかねない。


PETAのホームページを見てみると、毛皮を取るために動物たちが残酷な取り扱いを受けている、というのが毛皮反対の理由なんだが、どうやらそうなる理由が、工業的大量生産のために動物の苦痛を取り除かずに屠殺したり、飼育する環境が劣悪で動物が苦痛を感じている、というのが理由のようだ。私の持論では皮革、毛皮、肉食などヒトの伝統的な生活文化を、動物の苦痛という理由で絶ち切るのはいかがなものか、と思っていたが、それは大量生産の結果なのだろうと思う。かつて欧米の寒冷地では家族7〜8人が冬を生き残る食料として、秋口に一頭の豚を屠殺していた。そして塩漬け、燻製、すなわちハムやソーセージに加工して頭の先から尻尾の先、内臓や血液まで食べ切っていた。家畜としてかわいがって育てていたので、屠殺も慎重に行っていた。彼ら欧米人にはそういう記憶があるから、「動物愛護」っている形になってくるのかもしれない。そうすると、悪いのは大量生産ってことになるのではないかとも思う。


私たちには酪農、肉食の文化はなじみが薄いので、動物の苦痛をどうするんだ、とか言われても困るってところがあるが、仏教的に言えば、米粒だって青菜だって生命を頂いて生き長らえているのに、イルカは知能が高いから殺したらかわいそうだ、という風に論理が発展していくのには理解に苦しんでいた。「アナタはミナミマグロの痛みについて声高に文句を言いながら、そこのハエを叩き殺しているでしょう」なんて。でも、実際、動物が屠殺されるところを見たら、私だって肉が食べられなくなるだろうと思う。PETAについて少し調べていて、欧米人の言い分というものも少しわかったような気になった。


でも、他国の文化的な問題にまで口を突っ込んだり、ファッションショーで丹精こめた作品にケチャップかけたりしないでほしい。実際、毛皮産業に従事している人は困ってしまうだろう。