オーストリア -3

  • 4月26日午後、セセッション、カールスプラッツ駅と、そしてベルデヴェーレ宮のオーストリアギャラリーに行く。典型的なアールヌーボーコース。月並みだが、おおー、本当に金色のキャベツがのっかっている、とうなってしまった。中は典型的な現代アートギャラリーといった感じでさして面白くはなかったが、近にクリムトの『ベートーベンフリース』という壁画がある。これは2003年に神戸の美術館に来たので、日本で見ているかたも多いだろう。そしてその最寄りの駅カールスプラッツにあるオーットーワーグナー作の駅舎。入口の反対側がカフェになっていて、外の入口のメニューボードんでは白ワイン190ml1.9ユーロとのことで頼んだのだが、おねえさんが普通に(多分250ml)入れて持って来て、3.8ユーロだという。引き下がろうかと思ったが、英語で反論し、押し問答の末、取り替えてもらって10セントチップをあげた。この頃から一人旅の心細さがじわじわと絞め付けて来るようになったのだ。別に250ml飲んだって良かったのだが、ここで言いなりになったら、また、大観光地ウィーンに負けたと自分を責め出すだろうから。そして、白ワインとバトルの後で気が抜けて、1000円位で買ったエリザベートの本をそこに置き忘れてしまった。さて次はオーストリアギャラリーへ。ここが当初の最大目的であり、クリムトの『接吻』や『エゴンシーレ』の死と乙女、ココシュカ、ムンク数点、ゴッホも一枚あった。一番良かったのはエゴンシーレだった。何となく絵に迫力があるように感じる。クリムトは日本でも見ているし、また、『接吻』とか『ユーディット』のような超有名なクラフトっぽい作品は確かに良い、しかし、作品が多いだけに凡庸なものも多い。風景画や花の絵もあって、それをプリントしたミュージアムグッズも沢山あって、美術館としては売り出そうとしているのだろうが、風景画なら、隣のゴッホは別格だし、イギリスの風景画のほうがよほど優れていると感じた。ベルデヴェーレ宮自体も芸術的価値は高いのだが、絵を見るのが忙しくて何も覚えていない。
  • 夜になった。カフェなど寄っただけで昼食を取っていないことに気付いた。大観光地、外国にあてられて疲れていたが、思い切ってウィーン名物『シュニッツェル』を一番有名な店へ食べに行くことにする。途中ケルントナー通りという一番んの目貫き通りを歩いたが、ロンドンと同じだ。ボディショップもあり、ちょっとがっかり。因みにこういう通りのことをイギリスではハイストリートと言い、ファッションの勉強では重要なポイントだ。所謂街の流行が見られる訳で、だから没個性でつまらないのだけれど。そしてシュテファン寺院の裏手の『ウィーンで一番有名なウィンナーシュニッツェルの店、フィグルミューラー』にたどり着く。席につくまで軽く15分は待たされ、2組の夫婦らしき人たちと相席になったが、ここは楽しかった。『古き良きウィーン』という雰囲気に充ちている。直径30センチはあるシュニッツェルは昼飯抜きの私にも食べ切れなかったが、アッサリした肉、程よい塩加減にレモンを絞って美味しいものだった。食後、シュテファン寺院に寄る。イギリスで大きな教会を見慣れていたし、暗かったのでさして感動しなかったが、屋根のモザイク模様が素晴らしかったはずだし、地下のカタコンベにはハプスブルク家の死者の心臓以外の内臓が埋葬されているそうだ。彼らは心臓と内臓とそれ以外を別々に埋葬される。気持ちの良いものでは無い。庶民に生まれて良かった。