季節のご挨拶

megumimaginery2005-11-07

街は至るところクリスマスムードでいっぱいだ。カード贈答が盛んなイギリスではスーパーでもニュースエージェントでもカードを売っている。


さて、カードの文面だが、seasonal greeting「季節のご挨拶」と書いてあるものをよく見かける。多民族国家イギリスには多くの民族とその宗教があり、キリスト教のお祭りであるクリスマスは、異教徒にとっては祭日ではない。しかし、伝統的にキリスト教国家であるこの国の最大の行事であるので、「季節のご挨拶」という宗教的にニュートラルなコピーを使って、異教徒同士年間最大イベントを祝うのである。クリスマスは大きなビジネス・チャンスでもあるから、企業、小売店がこぞってイヴェントを打ち、異教徒、外国人を取入れる努力を惜しまない。


そもそも、クリスマスツリーの習慣は、キリスト教伝来以前の土俗宗教の伝統であるし、それもヴィクトリア朝(19世紀後半)、僅か150年程前に始まったものだという。


日本人のクリスマス・フィーバーを揶揄する向きもあるだろうが、本場でもクリスマスは大きく産業化され、その本来の意味は曖昧になっている。


一年で最も暗く鬱陶しい季節に何か華やかなイヴェントを持ち込んで、気持良く暮らして行きたい、という各民族、人種たちの共通の思惑によって「クリスマス」というイメージは拡大解釈され、運営されている。