ルースの告別式

3月3日にルースの告別式が行なわれた。場所はダービーシャーの西の外れのクリメトリウム(火葬場)。寒いが、良く晴れた美しい早春の日であった。


マーガレットの車に便乗して4人で式場に向かうが、ヘザーが「あそこが彼女の住んでいた村よ」と指さす。ノッティンガムシャーとの境界から僅かにダービーに入った辺りで、これからダービーシャー横切るのだ。丘の上に木立ちが見えて、美しい村である。


町外れの火葬場と聞いて、日本のような山の中かと思ったが、広々とした丘の上にあってとても美しい所であった。暮参りに来たら、ピクニックを兼ねて、故人を偲ぶ良い時間が過ごせるだろう。足元に薄紫色のクロッカスやダッフォディル(水仙)の芽など春の花が芽吹いている。マーガレットと他の仲間達が花の名前について色々教えてくれた。


告別の礼拝は付属の小さなチャペルで行なわれたが、ルースの人徳で大勢の人が詰め掛け、座り切れない人々が後ろにずらりと立っていた。礼拝はルースの教会の女性の牧師が執り行い、兄弟による彼女の生涯について、友人によるAAミルンの2編の詩の朗読、讃美歌とお祈りなど、簡単だが親密な感じの式だ。皆グレー位の地味な服装に明るい色のショールや毛皮のコート等を羽織って、日本の葬式と比べると、明るく優しくて、厳格な「結界」のようなものが無い。しかしそれ故に別れが悲しいのである。


式には、10年程前までルースと共にレースをやっていた当日101歳の誕生日を迎えたシェリーが、ジェニーに連れられて来ていた。足首に包帯を巻いていた彼女を、見知らぬ女性達が手助けして、会場まで連れて行ってた。


ルースはダービーの劇場やコーンウォールのミナックシアターでシェイクスピア演劇に関わり、レースもやり、その他実に沢山の活動を精力的にこなして69歳3ヵ月で亡くなった。良い人生だった。実際、もっと若く見えたので、ちょっとびっくりすると共に、悲劇度が和らいだ。でも、別れは悲しい。とても美しく良いお葬式だったが、今回は写真は勘弁して頂きたい。